まず知っておきたいのは、生乾き臭は「洗い残しの汚れ」そのものの臭いではないということです。あの臭いの主な原因は、モラクセラ菌という身近な細菌が、衣類に残った皮脂や水分をエサに増殖するときに出す物質だと言われています。この菌はどこにでもいる菌で、危険なものではありませんが、「湿った状態が長く続く」と爆発的に増えるのが厄介な性質です。洗濯物が5時間も6時間も湿ったままの部屋干しは、菌にとって絶好の繁殖環境というわけです。

つまり対策は2方向に整理できます。①すでに菌が住み着いた衣類から菌を減らす(リセット)と、②菌が増える時間を与えない(予防)です。順に見ていきます。

ついてしまった臭いの落とし方(リセット編)

一度生乾き臭がついた衣類は、普通に洗い直しても臭いが戻ってきがちです。菌が繊維の奥に残っているためで、「熱」か「酸素系漂白剤」で菌ごとリセットする必要があります。

方法1:酸素系漂白剤のつけ置き

色柄物にも使える酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を、40〜50℃程度のお湯に溶かし、30分〜1時間つけ置きしてから普通に洗濯します。酸素系漂白剤は温度が高いほど働きが強くなるので、水ではなくお湯を使うのがポイントです。頑固な臭いにもっとも確実で、家庭でやりやすい方法です。

方法2:60℃前後のお湯に浸ける

臭いの原因菌は熱に弱く、60℃程度のお湯に15〜20分浸けるだけでも大きく減らせます。漂白剤を使いたくない衣類向きですが、熱に弱い素材(ウール・シルク・ポリウレタン混など)には使えないので、洗濯表示を必ず確認してください。

方法3:乾燥機・コインランドリーの高温乾燥

ガス式の高温乾燥は、乾かすと同時に熱で菌対策にもなります。毛布や大物、梅雨の最終手段として覚えておくと便利です。

注意:塩素系漂白剤との混同・「まぜるな危険」

ここで言う漂白剤は「酸素系」です。塩素系漂白剤は白物専用で色柄物には使えません。また、塩素系と酸性タイプの洗剤等を混ぜると有毒ガスが発生し危険です。製品の表示を必ず確認し、換気しながら使ってください。

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二度と発生させない習慣(予防編)

リセットしても、増える条件がそのままなら臭いは再発します。予防の合言葉はひとつ、「菌に時間と湿気を与えない」です。

洗う前:湿ったまま放置しない

使ったタオルや汗をかいた衣類を洗濯機の中や洗濯カゴに湿ったまま溜めるのは、洗う前から菌を育てているのと同じです。通気性のよいカゴに入れ、洗濯機をカゴ代わりにしないのが基本。可能なら濡れたタオルは一度乾かしてから洗濯待ちに回しましょう。

洗うとき:詰め込まない・すぐ干す

洗濯物の詰め込みすぎは洗浄力を大きく下げ、皮脂(菌のエサ)が残る原因になります。容量の7〜8割を目安に。抗菌・部屋干し用の洗剤を使うのも有効です。そして最重要なのが、洗濯終了後すぐに干すこと。洗濯機の中に濡れたまま放置した時間は、そのまま菌の繁殖時間になります。

干すとき:5時間以内に乾かすつもりで

臭いを防ぐ実務的な目安は、「乾くまでの時間をできるだけ短くする」ことに尽きます。部屋干しでも、間隔を空けてサーキュレーターの風を当て、除湿機やエアコンを併用すれば、乾燥時間は大幅に縮まります。干し方の具体的なコツは部屋干しを早く乾かす方法で詳しく解説しているので、あわせてどうぞ。外干しできる日を選ぶのも立派な予防策です。

見落としがち:洗濯機そのものが臭いの発生源

衣類ではなく洗濯槽の裏側のカビや汚れが臭いの元になっているケースも多くあります。心当たりのある臭いが続くなら、洗濯槽クリーナーで1〜2か月に1回の槽洗浄を。ふだんから洗濯後はフタを開けて槽内を乾かす、糸くずフィルターをこまめに掃除する、も効きます。

外干しできる日を選ぶのも、立派な臭い対策 お住まいの地域の洗濯指数をリアルタイム表示。よく乾く日を選んで、菌に時間を与えない。
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まとめ

生乾き臭の正体は、湿った時間をエサに増える菌です。ついてしまった臭いは酸素系漂白剤のつけ置きか熱でリセット。そのうえで、湿ったまま溜めない・詰め込まない・洗ったらすぐ干す・早く乾かす・洗濯槽を清潔に保つという習慣で、菌に増える隙を与えないことが根本対策になります。特別な道具より、「乾くまでの時間を短くする」という一点を意識するだけで、生乾き臭はほとんど防げます。