洗濯物が乾く速さを決めるのは、突き詰めると「湿度」「風」「表面積」の3つです。空気が乾いているほど、風が当たるほど、そして洗濯物が空気に触れる面積が大きいほど、水分は早く抜けます。部屋干しが乾きにくいのは、この3つがすべて屋外より不利だから。つまり対策も、この3つを部屋の中でどう補うか、という話になります。お金のかからない順に見ていきましょう。
まずはタダでできる「干し方」の見直し
間隔はこぶし1つ分
洗濯物同士の間隔が狭いと、間の空気が湿ったまま動かず、乾きが極端に遅くなります。目安はこぶし1つ分(約10cm)。一度に干す量を減らしてでも間隔を確保した方が、結果的に早く乾きます。
「アーチ干し」にする
角ハンガーに干すとき、外側に長い衣類、内側に短い衣類を掛けて、全体をアーチ(虹)の形にします。中央に空間ができて空気の通り道が生まれ、乾燥ムラが減ります。定番ですが効果の大きいテクニックです。
厚手のものは「空気の通り道」を作る
パーカーはフードを持ち上げて干す(逆さ干しや専用ハンガー)、ズボンやスカートは筒状に開いて干す、バスタオルはずらして掛けて2枚の面を作る。共通する考え方は「布が重なった部分を作らない」ことです。乾きが遅いのはほぼ必ず、布が重なって空気が触れない部分です。
干す場所は「部屋の中央・高い位置」
湿った空気は部屋の隅や床付近に淀みます。カーテンレールに掛けるのは、窓際の湿気・カーテンの汚れ・日陰という三重に不利な場所なので避けましょう。部屋の中央、できるだけ高い位置が理想です。突っ張り式や折りたたみの室内物干しを部屋の真ん中に置くのが、実は一番効きます。
次の一手は「風」——サーキュレーターが最強のコスパ
干し方を整えたら、次は風です。洗濯物の周りには湿った空気の層がまとわりついていて、これを吹き飛ばし続けるだけで乾燥は劇的に速くなります。ここで活躍するのがサーキュレーター(または扇風機)。電気代は除湿機よりはるかに安く、部屋干し対策の中で最もコストパフォーマンスが高い道具です。
当て方のコツは、洗濯物の「真下」か「斜め下」から、全体に風が通るように首振りで当てること。一点に強風を当てるより、弱い風でも全体の空気を動かし続ける方が効果的です。窓を1か所開けられるなら、風の出口を作ると湿気が外へ逃げてさらに良くなります。
扇風機でも代用できますが、サーキュレーターは直進性の強い風で遠くまで空気を動かすのが得意で、部屋干しには向いています。1台あると夏は冷房の循環、冬は暖房の循環にも使えるので、持っていない場合は最初に買う道具としておすすめです。
湿気を取る——除湿機・エアコン・浴室乾燥の使い分け
風を当てても、部屋の湿度が高いままだと限界があります。飛ばした水分は部屋の空気に移るので、「湿気の出口」を用意するのが仕上げの一手です。
衣類乾燥除湿機:部屋干しの本命
部屋干しを日常的にするなら、最も頼りになる道具です。洗濯物の下に置いて風と除湿を同時に行うと、自然乾燥の半分以下の時間で乾くことも珍しくありません。方式は主に、夏に強い「コンプレッサー式」、冬に強い「デシカント式」、両対応の「ハイブリッド式」の3タイプ。梅雨〜夏中心ならコンプレッサー式、冬の部屋干しが多い地域ならデシカント式、と住んでいる地域の気候で選ぶのがコツです。
エアコンの除湿(ドライ)運転
すでにある設備で済ませたいならエアコンの除湿運転+サーキュレーターの組み合わせが手軽です。ただし部屋全体を除湿するぶん、洗濯物の近くだけを集中的に乾かす除湿機よりは効率が落ちます。
浴室乾燥機・お風呂場干し
浴室乾燥機があるなら、狭い空間を集中的に乾かせるので有効です。無い場合でも、換気扇を回した浴室に干してサーキュレーターで風を送れば、居室に湿気を持ち込まない「隔離部屋干し」ができます。
そもそも「乾きやすい状態」で干し始める
最後に、干す前の一工夫です。脱水を1回追加する(またはバスタオル1枚を一緒に入れて脱水すると水分を吸ってくれます)、洗濯が終わったら即座に干す(放置は乾燥時間よりも臭いに直結します)、干す前に大きく振りさばいてしわと重なりをほどく。地味ですが、スタート地点の水分量と表面積が変わるので、確実に効きます。
まとめ:効く順に積み上げる
部屋干しを早く乾かす手順は、①間隔・アーチ干し・場所などの干し方(無料)、②サーキュレーターで風(低コスト・高効果)、③除湿機やエアコンで湿気の出口(仕上げ)、の順に積み上げるのが合理的です。全部やれば、乾燥時間が半分になるのも大げさではありません。そして乾燥時間の短縮は、次の記事で扱う「生乾き臭」の予防にも直結します。乾くのが速いほど、臭いの原因菌が増える時間がないからです。